課題
- 勤怠管理に SaaS を導入していたが、社内規定に沿った計算式を含めた集計作業は人力で対応する必要があり、工数削減のための自動化が求められていた。
- 既存 SasS に機能制限があったため、求める機能を自社開発する必要があった。
対応と結果
- Google Cloud のマネージドサービスと BI ツールの Looker を活用し、勤務状況等の可視化を実現。勤怠管理業務の効率化やデータに基づく就労管理ができるようになった。
- 人力で対応し約3日かかっていた業務が無くなった。
アイレット株式会社は、勤怠管理や勤務状況の分析が可能となるシステムを独自開発し、データに基づく労働環境の改善を推進しています。本プロジェクトの詳細をご紹介いたします。
社内規定に沿った勤怠管理の効率化、勤務状況の可視化を目指し、既存 SaaS に足りない機能を独自開発することに
アイレット株式会社(以下、アイレット)は、社員の労働環境のさらなる改善に向けて、勤務時間における36協定に関する管理、時間外労働、勤務形態の管理、分析等をコーポレート統括本部で推進しています。
勤怠管理については、すでに外部の SaaS を導入することで効率化を図っています。しかし、締め日に向けて当社規定に沿った計算式を含めた集計をする必要があり、そこに人員をかけて集計作業をしていたことから、工数削減のための自動化が求められていました。
また、既存の SaaS では管理者権限でしか分析用ダッシュボードが提供できないといった課題があり、加えて各事業部の勤怠状況を可視化し管理職にデータを提供することへのニーズも高まっていたことから、必要な機能を備えた勤怠管理・分析システムを自社で開発することにしました。
BigQuery を活用し、Looker と効率的に連携可能なシステムを設計。ランニングコストの最適化や組織構造に合った分析環境の開発を実現
開発にあたっては、事前に勤怠管理 SaaS の API の仕様を調査してデータ連携が可能であることを明らかにした上で、Cloud Run の関数機能を用いてデータを取得。データウェアハウスの BigQuery にデータを集約する仕組みを設計しました。BigQuery を使うことで、将来的に ERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)などのツールと柔軟に連携することも可能となります。
集計・分析ツールには社内に導入済みの Looker を採用することで、必要なユーザーライセンスを社内申請するだけで使用できるため、ランニングコストの最適化につながっています。ダッシュボードについては将来的に個別データ分析を実施することも想定し、コーポレート統括本部でも Explore によるタイル作成、ダッシュボード作成ができるように調整しています。また、Gemini を用いたダッシュボード要約機能を導入し、AI による分析アシストも有効にしています。
なお、調査を進めていく中で勤怠管理 SaaS が組織階層構造に対応できるようにアップデートされていたことが明らかになったため、SaaS に合わせてデータを再整備した上で Looker と連携することで、BI ツール における組織別フィルタ機能を導入することができました。
こうした取り組みの結果、いつでも Looker で帳票をダウンロードできるようになったことで、締め作業に追われることがなくなり、当初の目的である勤怠管理業務の効率化を実現できました。セクション、グループ毎の個別分析、労働時間の中央値の取得、雇用区分の仕分けといった多角的なデータを活用できるため、よりデータに基づいた就労管理が可能となったことも大きな変化です。
また、勤怠状況のダッシュボードを管理職に提供したことで、人事労務と管理職が勤務時間についてデータをもとにディスカッションできるようになりました。各事業部長へのダッシュボードの提供には Looker のメール配信機能を活用しているため、その点においても工数削減につながっています。
今回のプロジェクトをきっかけに、非エンジニアが多い間接部門でもデータやAIを積極的に活用する文化が浸透し始めています。今後は業務効率化によって生まれた時間を有効活用し、より人の力が必要になるサービスを提供することで、働きやすい労働環境の構築に貢献してまいります。
(使用プロダクト)
- ・Cloud Run
- ・BigQuery
- ・Looker
Credit
クライアントアイレット株式会社