ROS 対応の多様なロボットとビル設備を連携し、建物内での高度なロボット活用が可能に！ロボットプラットフォームのインフラ構築・アプリケーション開発

KDDI株式会社様（以下、KDDI 様）は多様なロボットとビル設備とのスムーズな連携を促進させる「ロボットプラットフォーム」の開発・提供を進めています。本プラットフォームのインフラ構築、アプリケーション開発をアイレットが担当させていただきました。

生産年齢人口の減少が続く中、その解決策の一つとしてロボット活用が期待されています。すでに工場や倉庫、家庭などでさまざまなロボットが活躍していますが、マンションなどの集合住宅やオフィスビルなどの広い空間でロボットがスムーズかつ安全に稼働するためには、エレベーターやセキュリティゲートなどの設備との高度な連携が欠かせません。しかし、世の中に数多く存在するロボットやビル設備ごとに連携する仕組みを作ることは、各メーカーの負担が大きいこともあってなかなか導入が進んでいないのが実情です。

そこで KDDI 様は、さまざまなロボットやビル設備の制御システムを仲介・連携するロボットプラットフォームの開発に着手。ロボットやビル設備の違いを吸収し、短期間のチューニングでロボットを活用したサービスを提供できるようにすることを目指しています。

本プラットフォームでは大量かつ多種類のロボットが稼働することを想定しているため、ロボットの稼働場所や配送、巡回、用途などを考慮しながら活動範囲の拡大に対応できるよう、柔軟性と拡張性を併せ持つサーバー環境が必要になります。そこで、AWS の開発実績が豊富なパートナーとしてアイレットにインフラ構築とアプリケーション開発をご依頼いただきました。

今回開発したロボットプラットフォームは、ロボット業界で広く使われている ROS（Robot Operating System）に対応しているものを対象に、あらゆるロボットを短期間でチューニングし、迅速に連携可能にすることを目指しています。ロボットには配送や清掃、巡回など役割に応じて搭載している機能が異なり、通信フォーマットもメーカーによってさまざまです。それらの差異を吸収するために、ロボットの機種ごとに変換ロジックを整備し、具体的な動作を「抽象化」することで取りまとめています。

インフラ構築においては、さまざまなロボットと同時に連携できるように、複数の IoT デバイスとのスムーズな連携を可能にする AWS IoT Core を使用しています。また、AWS IoT Core フリートプロビジョニングを活用して MQTT（Message Queuing Telemetry Transport）プロトコルによる通信を実現しています。プラットフォームのデプロイには CI/CD（継続的インテグレーション/継続的デリバリー）を導入し、AWS CodePipeline と AWS CodeBuild を組み合わせて自動デプロイを可能にしています。なお、ロボットから上がってきた情報は Amazon S3 に保存しているため、Amazon Athena を用いて分析に役立てることもできます。また、ロボットプラットフォームを管理するための管理画面も、AWS Amplify を使用して迅速に開発しました。

今回の開発を経て、KDDI 様は大規模マンションにおけるロボット配送の受容性と技術的課題を抽出する実証実験を進めています。今後、さらなる検証や実験を通じて、人々の暮らしをより豊かにするサービスの開発を目指しています。

これからもアイレットはお客様の課題解決と新たな価値創造を支援し、事業の拡大に貢献してまいります。

（使用プロダクト）

• AWS IoT Core
• AWS Lambda
• Amazon Data Firehose
• Amazon DynamoDB
• Amazon RDS
• Amazon S3
• Amazon Athena
• AWS Amplify
• Amazon Cognito
• Amazon API Gateway
• AWS Secrets Manager
• AWS CDK
• AWS CodePipeline
• AWS CodeBuild
• AWS SAM