工場設備データの“見える化”を低レイテンシ・低コストに改善し、全国拠点に展開。工場 IoT モニタリングの基盤構築

三菱マテリアル株式会社

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システム開発

三菱マテリアル株式会社

お客様の課題

  • AWS IoT SiteWise から Amazon Redshift に設備稼働データをロードする際の、ETL 処理に伴うコスト増加を懸念していた。
  • データサイエンス室の立ち上げに伴い、データウェアハウスや BI ツールを移行する必要があった。
  • 生産設備機器に関する情報を、できるだけ国際標準に近づくよう OPC UA で情報モデル化することを目指した。

対応と結果

  • データウェアハウスを Snowflake に移行し、BIダッシュボードまで数分のレイテンシで国内主要拠点の設備稼働データの可視化を実現。OPC UA を採用することで ETL 処理が不要となり、コスト削減にも大きく貢献。

三菱マテリアル株式会社様(以下、三菱マテリアル様)が推進するスマートファクトリーの一環として、生産設備のモニタリング基盤構築をアイレットがサポートさせていただきました。

設備稼働データの ETL 処理によるコスト増加を懸念。国際標準規格 OPC UA に対応する新たな基盤構築を検討する

大手非鉄金属メーカーの三菱マテリアル様は、ユニークな技術を強みに非鉄金属素材や付加価値の高い機能材料・製品をグローバル展開するほか、高度なリサイクル技術や地熱等再生可能エネルギーの開発を通して、持続可能な社会への貢献を目指しています。

ものづくりの源泉となる国内生産工場では、IoT を活用した生産性向上に積極的に取り組まれており、「見える化→気づき→自動化」という構想のもとスマートファクトリー化を推進。アイレットは開発パートナーとして、AWS IoT SiteWise を活用した稼働状況のリアルタイム可視化をはじめとする様々なプロジェクトを支援しています。

同社では 国内3拠点で稼働している生産設備からの運転状況データを AWS IoT SiteWise で収集・蓄積しており、データウェアハウスの Amazon Redshift にデータをロードする際にAWS Lambda で ETL 処理を行なっていましたが、データ量の増加に伴う ETL 処理のコスト増大を懸念していました。

また、さらなる DX 推進に向けてデータサイエンス室を新設したことで、データウェアハウスを Snowflake に、BI ツールを移行させる必要がありました。そして、生産設備機器に関わる情報モデルの標準化を目的として、国際標準規格の OPC UA を採用することを検討していました。

こうしたお客様の課題やご要望を踏まえて、アイレットで新たな基盤構築をサポートさせていただきました。

ETL 処理不要によるコスト削減に加え、自動データ処理やクエリ実行時間の改善など、効率的なデータ可視化も実現!

データウェアハウスについては、Snowflake の外部ステージとして Amazon S3 にデータを集約する方式を採用。サーバーからのデータ取得には SiteWise Edge ゲートウェイを使い、送信先にサーバーレスストリーミングデータサービスの Amazon Kinesis Data Streams を設定。コンシューマに Amazon Data Firehose(旧 Amazon Kinesis Data Firehose)を指定し Amazon S3でデータを保存しています。データウェアハウス側では Snowflake Snowpipe を活用することで Amazon S3のイベント通知に応じて数分以内で自動的にデータを反映し、継続的かつ差分でのデータロードを実現しています。

そして、インダストリー4.0やスマートファクトリーに向けた国際標準規格 OPC UA を採用し、データの半構造化、データトランスポートレイヤーの標準化を進めることで、接続機側との自動接続や、ETL 処理なしでセンサーメトリクスをそのまま記録できるようになりました。
また、時系列データのクエリを実行する際、同じ値のレコードが多くクエリ実行に時間がかかってしまう問題が発生しました。そこで、値の変化がない範囲のレコードのうち、最初と最後のレコードのみを残してデータ量を削減することで、クエリ実行時間の改善につながりました。

2023年9月からシステム稼働がスタートし、国内全拠点の稼働データの低レイテンシによる可視化を実現。ETL 処理が不要になったことで、大幅なコスト削減にも寄与しました。現在、接続設備数は約300台、月間レコード量は20億行の規模で稼働しています。

引き続き、国内工場のスマートファクトリー化を推進しており、IoT 向けのメッセージングプロトコルである MQTT を使って OPC UA の標準化されたデータモデルを送信することで、相互運用性が高く双方向通信が可能なアーキテクチャの構築にも取り組んでおります。今後は分析結果をもとに設備制御・実行に反映させることも検討しています。また、生産計数の機械学習モデルについてもお客様と一緒に開発に取り組んでおります。

今後もアイレットは最先端技術とビジネスをつなぐプロ集団として、お客様に寄り添い、新たな価値を提供し続けてまいります。

(システム構成図)
三菱マテリアル株式会社構成図

(使用プロダクト)

  • ・AWS IoT Greengrass
  • ・Amazon VPC
  • ・Amazon Kinesis Data Streams
  • ・Amazon Data Firehose
  • ・AWS Lambda
  • ・Amazon S3
  • ・Amazon SQS
  • ・AWS IoT Core
  • ・AWS IoT SiteWise
  • ・Amazon Managed Grafana
  • ・Snowflake

Credit

クライアント三菱マテリアル株式会社