BizDevOps を加速!New Relic 活用でユーザー体験の向上とパフォーマンス最適化を実現し、オブザーバビリティを強化

アイレット株式会社

https://www.iret.co.jp/

cloudpack / システム開発

アイレット株式会社

課題

  • SEO に関わるユーザー体験の評価が可視化できていなかった。
  • デプロイ前後のパフォーマンス変化を把握する仕組みがなかった。
  • 既存のダッシュボードでは包括的なデータの可視化ができず、Web サイトの運用担当者と情報共有する仕組みも無かった

対応と結果

  • New Relic を活用し、SEO に関わる UX データの収集を強化。
  • デプロイメント追跡機能の導入により、パフォーマンスの変化を可視化。
  • ダッシュボードの改善を実施し、BizDevOps を主体としたモニタリング体制を強化。

※BizDevOps:ビジネス・開発・運用の異なるチームがクロスファンクショナルな体制を築く上で重要な概念

アイレット株式会社(以下、アイレット)は、複数のオウンドメディアにおけるユーザー体験の向上とパフォーマンス最適化を目的として、モニタリング基盤の強化を推進しました。

UX データの可視化およびデプロイメント時のパフォーマンス管理が課題に。データインサイトの強化とダッシュボードの改善に取り組む

アイレットでは、複数のオウンドメディアに対して New Relic を用いた監視を実施しています。

関連事例:複数オウンドメディアのサーバーレス化と New Relic を活用したモニタリング基盤構築。運用コスト効率化とオブザーバビリティ強化を実現!

しかし、運用において重要な UX 指標の可視化が一元化されておらず、サイト訪問ユーザーに関するパフォーマンスデータの把握・評価が不十分でした。

また、サイト更新時のデプロイメントに伴うテレメトリーデータの変化を追跡する仕組みがなく、更新前後の SLO 状態や APM メトリクス、システムパフォーマンスの詳細な確認が困難でした。さらに、既存のダッシュボードではデータインサイトが不足しているだけでなく、運用担当者との情報共有の仕組みも不十分でした。

そこで、MSP(マネージドサービスプロバイダ)チームは、New Relic の機能を活用して、UX に関わる指標の可視化やデプロイメント追跡機能の導入、ダッシュボードのブラッシュアップ及び定期的な情報共有という3つの課題に対する改善施策を行ないました。

New Relic のサービスを活用してUX の指標可視化とデプロイのパフォーマンス変化の追跡を実現。ダッシュボードによる BizDevOps の連携強化が可能に

UX に関わる指標の可視化では、サイトの可用性とパフォーマンスに関する情報を収集し、簡易的に表示ができる New Relic の Website performance monitoring を導入。本機能を利用することで、複雑な作り込みをせずとも Google が提唱する Core Web Vitals やページロードタイムの可視化、リンク切れチェックの定期確認を一つの画面に集約させることができ、関係者間での情報伝達がスムーズになりました。

また、New Relic の Change Tracking を導入することで、デプロイ時に各テレメトリーデータへマーカーを挿入し、作業前後のパフォーマンス状況の可視化を実現しています。アイレットの各オウンドメディアでは、SFTP を利用して専用サーバーへデプロイメントを行ない、その後 Git にマージする運用を実施しています。このため、Git のバージョン管理情報を基にしたマーカー送信が運用フロー上難しい状況にありました。そこで、以下の工夫を行ないました。

  • ディレクトリやファイルの変化を検出するためのコマンドラインツールを導入
  • コマンドラインツールを稼働させる専用シェルスクリプトを作成
  • New Relic へ送信されるマーカー情報に基づくアラート設計と設定

この工夫によって、特定ディレクトリ内の差分状態を元にマーカーが New Relic へ送信される仕組みを構築しました。構築後は、デプロイされた情報はすべて Slack へ通知させ、デプロイメントチームとオペレーションチームが迅速に状況を確認することで、適切な対応が可能となりました。

さらに、データインサイトの強化に合わせて、既存のダッシュボードをブラッシュアップし、BizDevOps を主体とした主要データをプロジェクトチーム全体で共有できるよう再構築。情報共有にダッシュボードを活用することで、各パフォーマンス状況を効果的に共有できるようになりました。

Change Tracking影響調査
ブラッシュアップしたダッシュボード

今回の取り組みにより、ユーザー体験の向上を見据えたインサイトの活用と、BizDevOps における連携強化を実現しました。また、ダッシュボードを活用しパフォーマンス状況を共有することで、UX 視点での状況把握や、相関分析を踏まえた包括的なデータ活用が可能となり、オブザーバビリティの強化にもつながりました。

さらに、New Relic の機械学習による異常検出機能を導入し、ダッシュボードや従来の静的な閾値監視では捉えきれなかった予兆の検知に向けた取り組みも実施しています。

今後もアイレットは、従来のインフラ監視だけでなくオブザーバビリティの強化にも注力し、ユーザー体験の向上に寄与するソリューションを開発・提供してまいります。

(システム構成図)
New Relic を導入したダッシュボードや従来の静的な閾値監視システム構成図

(使用プロダクト)

  • ・New Relic
  • ・AWS
    • Amazon CloudFront
    • AWS WAF
    • Amazon S3
    • Amazon ECR
    • AWS Fargate
    • Amazon EFS
    • Amazon Aurora Serverless
    • Amazon EKS
    • Internet Gateway(IGW)
    • Application Load Balancer(ALB)
    • NAT Gateway

Credit

クライアントアイレット株式会社